この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
だけどそれ以上どう言えばいいかわからなくて、いっぱいいっぱいだった私の身体は恥ずかしさで熱くなっていく。
ちらちらと彼のことを気にしながら静かにバスに揺られた。
しばらくすると日向くんの眉間にはさっきよりも深いシワが刻まれて、おまけに小さくカタカタと震え出した。
やっぱりツラそう……。
でもまた断られちゃったら、今度こそ立ち直れないかもしれない。
いっそのこと黙って席を立つ?
余計なお世話かな?
ぐるぐる考えを巡らせていると、弱々しい視線を感じて顔を上げた。
目が合って、鼓動が波打つ。
「わり……やっぱ、限界……っ」
「え?」
限界……?
無理してたんだ?
座席のことを言ってるんだよね?
「ど、どうぞ」
とっさに立ち上がり席を譲る。
「どうも……」
かろうじて聞こえるほどの声でそう囁くと、日向くんは倒れこむように座席に座った。頭を窓に持たせかけて目を閉じている。
ゴホゴホッと重い咳までしてすごくツラそう。
「いってぇ……」
ひとり言だろうか。うわ言のようにそうつぶやいて、喉の辺りを手でさする日向くんから目が離せない。
目を閉じていてもカッコよくて、イケメンアイドル並みに整った容姿。こんなことがなければ、到底関わることなんてなかったであろう人。
茶髪の長い前髪の隙間から形のいい眉が覗いている。
お肌、きれいだな。
まつ毛もすごく長い。
呼吸を荒くしながら日向くんは寝入ってしまった。
ドキドキと高鳴る鼓動。
こんなにまじまじと顔を見たのは初めてかもしれない。
私は終点のひとつ手前の停留所で降りるけど、日向くんは終点が最寄りだ。それは日向くんをバスで見かけるようになってから知った。
終点間際になると席も空いて車内はガランとする。
さっき喉が痛いって言ってたけど……大丈夫かな?
カバンの中を探ってさっき買ったいちごののど飴を取り出す。
迷いながらも、私はそれを日向くんのカバンの上にそっと置いた。
ドキンドキンとありえないほど鼓動が高鳴って手に汗握る。自分から積極的にこんなことをしたのは初めてだった。