この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
帰りも同じくバスの時間をズラした。
「桃咲さん、今帰り?」
バス停で待っていると福島くんがきて自然と隣に並んだ。
「珍しいね、福島くんがバスなんて」
「中学のときのサッカー部の連中が森林公園でサッカーしようって言うからさ」
「そうなんだ」
普段は電車通学の福島くんだけど、今日はバスらしい。地元の森林公園へはバス停からのほうが近いためだ。
「桃咲さん、学校祭でアイドルのコスプレするんだよね?」
「あはは、そうだよ。絶対似合わないよね。恥ずかしいな」
「いやいや、似合うに決まってるよ。楽しみ」
「えー? あはは」
何気なく会話しながら十分ほど経った頃バスがやってきた。会いませんように……乗っていませんように。
意を決してバスに乗り込む。そして自然と目が向くのは日向くんのいつもの定位置。
ドキッ。
なんで会いたくないときに限って会っちゃうかな。
「桃咲さん、うしろのほう空いてるよ」
「あ、うん……」
そう、だよね。
断るのも変かなと思って仕方なく日向くんがいる後部座席のほうへと進む。福島くんは一番うしろの席に座った。
日向くんがいる席の真横を通り過ぎたとき、視線を感じたけど私は気づかないフリをした。
地元の停留所に着くまでの三十分間、福島くんとどんな話をしたかはほとんど記憶にない。
斜め前に座る日向くんはこちらを振り返ることもなく、いつもみたいに話しかけてもこなかったけど、そんな日向くんが気になって仕方なかった。