この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
「あいつときてんの?」
「ちがうよ、ひとりだけど」
「ふーん……」
やけに不機嫌そうなトゲのある声だった。私のカン違いかもしれないけど、日向くんはなんだかスネているように見える。
「すっげー仲良さそうだったじゃん」
ムッと唇を尖らせる日向くん。
きちんと答えるべきなんだろうけれど……ダメだ。
「おい、なに笑ってんだよ」
「ご、ごめんね。なんだか日向くんが子どもみたいで。あはは」
「…………」
無言で頭をグリグリ小突かれた。
「バーカ……」
耳元で小さく囁かれた声に、ありえないほど鼓動が跳ねる。
「もういいだろ、笑うな。行くぞ」
「あ……うん」
結局送ってもらう流れになった。きちんと説明したほうがよかったかな。でももう言える雰囲気じゃなくなった。
福島くんとはなにもないよ、なんてそんなの自惚れもいいところじゃない?
日向くんが嫉妬してるんじゃないかって、単純な私はそんなありえないことばっかり考えてる。
だけどそうだったらいいなって、本心はそう。
ねぇ、日向くん……。
「連絡先教えて」
「え……?」
「ダメ? 俺は知りたいんだけど」
私バカだから、そんなこと言われたら期待しちゃうよ。
「いい、よ」
ドキドキしながら連絡先を交換した。その間日向くんはだんまりだったけど、しばらくすると口を開いた。
「自分から女子に連絡先聞いたの初めて」
私が日向くんの特別だって、そう思ってもいい?
カン違いだといけないので口にはしなかったけれど、そうだったらいいなって強く心の中で思った。
「じゃあな!」
「待って」
私に背を向けて去ろうとする日向くんの腕をつかんだ。身体がピクッと反応したかと思うと、上から熱のこもった視線が降ってくる。
「福島くんは、ただのクラスメイトだよ」
「…………」
「それと、明日はいつもと同じバスに乗るから」
日向くんが息をのんだのがわかった。
「わ、私も、日向くんに会いたいの。だから、いつものバスで待っててね」
「…………」
「こんなこと言うの日向くんが初めてだよ」
恥じらいや照れを隠して言った。でも顔は真っ赤だ。あたりが暗くてよかった。