この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。

「離せよ」

不機嫌そうな低い声に顔を上げると、なぜかそこに日向くんの横顔があった。

ビックリして目を見開いたのは私だけじゃない。

「ひゅ、日向?」

「なんでおまえがここに?」

顔を引きつらせる男子たち。

日向くんの鋭い目つきはヒヤリとするほど冷たい。睨みをきかせる日向くんに私はただ小さく肩を縮こまらせた。

「聞こえねーのかよ、早く離せって」

「なんで日向に言われなきゃなんねーんだよ。今俺らが話してんのに」

「は? どう見てもこいつ嫌がってるだろ、察しろよ」

「はぁ? 嫌がってねーし」

バチバチと火花が飛ぶ。つかまれた手首に力がこめられ、私は思わず顔をしかめた。ど、どうしよう。雰囲気悪いよね。それに注目の的だ。

ひしひしと突き刺さる視線にさらに萎縮してしまう。遠くで福島くんが心配そうにこっちを見ていた。

「マジで離せって」

「あ、おい、やめろよ」

「うっせー、桃咲に触るな」

日向くんは男子の手首をつかんで私から引き剥がした。明らかにムッとしている。

『うっせー、桃咲に触るな』

スネたような声が頭の中で反芻する。

いやいや、ただ助けてくれただけだよ。

「ねぇ、あれって北央のプリンスじゃない?」

「やばっ、超カッコいい!」

「助けてくれるなんて、王子様みたい」

あちこちからひそひそ声が聞こえてくる。

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