この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
「わー、遅くなっちゃった!」
学校を出るとあたりにはオレンジ色の夕陽がさしていた。学校からバスの停留所までは徒歩五分くらいで、バスの時間が迫っていたためダッシュで向かう。
必死に足を前に押し出して、なりふりなんてかまっていられない。
だってこれを逃すと次のバスが来るのに三十分は待たなきゃいけないんだもん。なんとしてでも間に合ってみせる。その一心で走った。
「はぁはぁ」
そのかいがあってバスに乗ることができた。
呼吸を落ち着かせるように胸に手を当てて深く息を吸う。
キョロキョロして空いてる席がないか探すと、一番後ろからひとつ手前の二人がけの席に学ラン姿の茶髪の男子が見えてドキッとする。
も、もしかして。
期待と緊張で胸が高鳴る。
「あ」
やっぱり、日向くんだ。
イヤホンで音楽を聴きつつぼんやりと外の景色を眺め、この前はツラそうだった横顔もいつもの日向くんに戻っている。
じっと見つめてしまっていると、不意に日向くんがこちらを向いた。
わ、どうしよう。
目が合い、恥ずかしくてパッとそらしてしまった。
ドキンドキンとありえないほどの鼓動。
見ていたことがバレたら変に思われてしまう。
私はどうすればいいかわからず、うつむきながら手すりにつかまった。バスに揺られながらも気になるのは日向くんのことばかり。
ひしひしと突き刺さるような視線を感じて顔を上げられない。
日向くんがバスにいるだけで、こんなにも落ち着かないのはどうしてだろう。意識しすぎて変になりそうだよ。
自分の顔が熱いことに気づいて、どうか日向くんには気づかれていませんように……そう願った。