この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
『すぐ行くから待ってろ』
桃咲の返事も聞かずに電話を切った。そしてスマホのアプリで地図を表示する。ここからだと森林公園までチャリで十分か。
よし、意を決してペダルを踏む足に力を入れる。生ぬるい夜風が頬を撫で、じめじめした空気が肌にまとわりつく。それでもペダルを漕ぐ足は軽い。
なぜだか無性に桃咲に会いたい。
誰かにこんな気持ちを抱くのは初めてだ。言葉で表すなら、恋い焦がれるっていう表現がピッタリかもしれない。
どこだ?
森林公園に到着したはいいものの、広すぎてどこにいるのかわからない。さっきちゃんと聞いとけばよかった。
「日向くん!」
芝生の広場まできたとき、街灯の下に立っている桃咲が俺に気づいた。モコモコのかわいい部屋着姿で、袖口からゆび先だけがちょこんと出ている。
風呂上がりなのか髪の毛からストロベリーのような甘い香りが漂ってきた。
ドキッと高鳴る鼓動。なんだかいろいろとヤバい。
「なに、やってんだよ」
「いろいろあったときにここにくるの」
「いろいろって?」
「それは……ヒミツ」
はぁ?
口ごもる桃咲を見てハッとした。もしかすると今日桃咲をここにこさせたのは俺かもしれない。