この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。

大きな手のひら


『ずっとそばにいるから』

優しい言葉を思い出してついつい顔がゆるんだ。

日向くんに送ってもらい、マンションに帰ってきたはいいものの、両親の寝室の前を通ったときひそひそ声が聞こえて足が止まる。

「あの子がなにを考えてるのか私にはわからないわ」

「ひまりはおまえを本当の母親のように思ってるよ」

「そんなはず、ない。私にはわかるの」

心臓がヒヤリとしてハッと息をのむ。

「これ以上、どうすればいいのよ……っ」

「おいおい、おまえがそんなんでどうするんだ」

「でも……っ」

母親のしのび泣く声に、胸がキリキリ痛んだ。

私、ちゃんといい子でいるのに。ワガママも言わないし、感情的になったりもしない。あきくんのことも、実の弟のように思ってる。

それなのに、どうして泣くの?

私がわからない……?

私だってわからない。どうすれば家族になれるのか。それでも必死で家族をやっている。

私と母親の間にはなにもないんだ、なにも。

足音を立てないようにして自分の部屋にこもった。ベッドにダイブして頭から布団をかぶり、ギュッと目を閉じる。

そしたら嫌なことは全部忘れられる。明日になれば、またうまく笑えるはずだ。今までそうやって生きてきた。

無意識に私は部屋着のポケットから取り出した四つ葉のクローバーの栞を握った。

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