この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。
「…………」
突然こんな話を聞かされて困惑しているらしい日向くん。眉間のシワがさらに深くなった。
「大丈夫だよ。再発もしなかったし、もうすぐ四年が経過するから」
私の白血病はほぼ完治したといっても過言ではない。
「ほら、また大丈夫って……でも俺、めちゃくちゃ混乱してる。まさか桃咲が……」
「あ、はは。だよね、当時は私もビックリした。それでね、そのときお父さんが初めて私の前で泣いたの」
お母さんのお葬式でさえ泣かなかったお父さんが泣いたのは、十一歳の私にはものすごく衝撃的だった。私の白血病は私の身体だけじゃなくて、お父さんの心までもを蝕んだ。
まだよくわかっていなかったとはいえ、お父さんの悲しそうな姿に胸を打たれた。とても悪いことをした気になって、これ以上お父さんを悲しませちゃいけないって、そんなふうに思ったの。
日向くんは大きく目を見開いたまま固まっている。
「そのとき私、心に誓ったんだ。なにがあっても、お父さんの前では笑っていようって」
「…………」
私が泣いたり苦しんでいたらお父さんが悲しむ。だから私は、どんなときでも笑顔でいたかった。