この空の下、きみに永遠の「好き」を伝えよう。

「助かった」

「え?」

「それに席も譲ってくれただろ?」

「……」

「意識がもうろうとしてたから、はっきり覚えてなかったけど……目が合ったし、なんとなく直感であんたかなって」

あ、あれ。

変に思われたわけではなかった?

まさかの展開に思考が追いつかず、突っ立ったままの状態で固まる。

「もらったのはあっという間になくなったから。これ、お返し」

「え、と」

「同じので悪いけど」

そんなふうに思ってくれてたんだ?

表情を変えずにそう言い、日向くんはどこかぎこちなく自分の髪を触る。

迷惑だって言われても仕方のないことをしたのに、わざわざ新しく買い直してくれたの?

私が勝手にしたことなのに、そう言ってくれるなんて意外だった。

「ありがとう、ございます」

おずおずと手を差し出せば、日向くんがそこにのど飴を乗せてくれる。軽く指先が触れて、慌てて手を引っ込めた。

うう、恥ずかしい。

「こっちこそ、どーも」

日向くんの口元がゆるやかに微笑み、クールな印象から優しい雰囲気に変わる。

カッコいいなぁなんて改めてそんなふうに思い、胸の奥がチリッと熱くなった。

あの日から余計に日向くんを意識しちゃってる。

触れた手がいつまでも熱くて、そこだけやけにじんじんしていた。

< 9 / 242 >

この作品をシェア

pagetop