KANATA～answers of your selection～

式が終わった後、オレは迷わず屋上に足を運んだ。


扉の先に辻村はいない。


辻村がいたら、なんて言ったかな。



――「奏太先輩、ご卒業おめでとうございます！」


――「卒業しても遊びに来てくださいよ！奏太先輩がいないと、私寂しいですもん」


――「奏太先輩、一緒に写真録って下さい！記念ですよ、記念！」


――「奏太先輩...」


――「奏太先輩...」


――「奏太先輩......」


――「私...奏太先輩が......好きです」


――「奏太先輩は、私の......運命の人だから」



思い出すだけで目頭が熱くなる。


泣かせるようなこと言うなよ。


いや、言ってないか。


オレの幻聴だった。


卒業式でも泣いてない。


こんなところで泣くもんか。


泣くのは......


今度辻村に会った時だ。


彼女を迎えに行った、その時だ。