KANATA~answers of your selection~
「おはよう奏太(かなた)」


「おはよう」


「なんか元気なくない?同じクラスになったんだし、もっと嬉しそうにしてよ!何?未夢(みゆ)のこと嫌い?」


「嫌いじゃないよ。一緒になれて良かった」


「本当に思ってる?」


「思ってる」


「ふ~ん。なら許す。よろしく頼みますよ、奏太さん」



俺には幼なじみがいる。


家が真向かいで俺が産まれたちょうど2週間後に未夢は産まれた。


忙しい母に代わって未夢のお母さんが俺の面倒を見てくれたり、夕飯も未夢の家族と食べたりすることも多々あった。


未夢は昔から俺のことが大好きで、毎年バレンタインには本命チョコをくれるし、法律上結婚も射程内なのは間違いない。


この世には不条理な法律があって、少子化が進む現在、28歳になっても結婚出来ない男女は幼なじみや同級生と強制的に結婚させられることになっている。


28歳の誕生日前日までに婚姻届を出さないと政府から通知が来て翌日から勝手に決められた相手と結婚生活が始まるのだ。


それが嫌なら日本から出るしかない。


色々と管理された世の中、逃げ場はないというわけだ。


そんな世の中にも不満が尽きない。



「未夢おっはー」


「おっはー良!春休みはエンジョイ出来た?パラレルワールドいったんでしょ?」


「おいおい、パラレルワールドを軽く言うなよ。まだ臨床試験段階だし、俺治験者に選ばれてねえよ」


「なあんだ、そうなんだ。未夢てっきり良は選ばれたのかと思ってた。この前熱弁してたから」


「そりゃあそうだろ。すげえことなんだぜ、もう1人の自分に会うって。違う時間軸で自分と同じ魂を持つ異なる存在が生きてるなんてさ。ああ、ワクワクする!」


「いい加減現実見なよ。いつまでそんな厨二的なこといってんの?受験生なんだから勉強しないと...」


「俺就職組だから関係ないわ」


「はあ?!大学行かないの?大学行って宇宙工学やるんじゃないの?」


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