「好き」はきっと二分の一
「円周率の値は何かわかる?」

「えっと……3.14だっけ?」

「正解!」

先生は、3.14と紙に書いた。そして私を見つめる。

「円周率がπと表すことは知ってる?」

「はい、知ってます」

「同じ発音で同じ円の形をした食べ物に、アップルパイなどのパイがあるよね」

先生は英語でPIEと書いた。そして、3.14の数字を左右に反転させる。するとーーー。

「あっ!」

「PIEの文字が現れるでしょ?」

先生がそう微笑んで次に書いたのは、142857という数字。なんの変哲もないただの数字に見えるけど……。

「今から面白いことが起きるよ」

先生はそう言って計算式を書き始めた。

142857×1=142857
142857×2=285714
142857×3=428571
142857×4=571428
142857×5=714285
142857×6=857142

「何か気づくことはある?」

私は首を横に振る。数字は見ているだけで頭がこんがらがってくる。数学者という存在があることが不思議なくらい。

「実はね、答えに使われている数字は全て同じなんだ。しかも同じ順番で数字が循環している」

よく見てみると、確かにそうだ。私は「なるほど」と呟く。先生は「七もかけてみようか」と数式を書いた。

142857×7=999999

「すごい!」
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