たばこ
前を開けているシャツからは、引き締まった腹筋やスッとした鎖骨が見える。
服と合わせたかのような髪は風になびく。
地上の星を見るように俯き、そしてまた、煙草を口へと運ぶ。
ふと、何か気づいたかのように後ろを振り向く。
「何?」
彼は言った。
「あんたも吸う?」
右手に持った煙草を少し掲げる。
視界が多少上下に揺れる。
「そう。じゃあ、こっちに来なよ」
煙草の香りが強くなる。
月明かりの白と、煙草の燃える赤。
そして、彼。
立ち上る煙は、冷たい空気に消える。