天然なALTと振り向いてほしい男子高生の話

「Go with your lover（恋人と行っておいで）」

アン先生はそう言い、僕の頰に優しくキスをする。その柔らかな唇をもっと感じたいけど、いつだってキスは一瞬。

一生懸命アプローチしても、こんな風に返されちゃう。キスしてくれるのは、小さい子を慰めるみたいな挨拶だって。僕も男なのに……。

アン先生は天然だ。僕の「好き」は、みんなが先生に言う好きとは違うのに。アン先生は自分が美人ってことを自覚してない。

「アン先生！」

僕は、アン先生をまた真剣な目で見つめる。アン先生のおかげで英語がもっともっと好きになったんだ。これからもずっと好きでいたい。

恋人になって、手をつないだりキスをするのが当たり前になりたいから。アン先生にいろんな景色を見せてあげたい。京都だって、北海道だって、九州だって、先生と二人で行ってみたいんだ。

「I love you（あなたのことが好きです）」

何度言ったかわからない言葉を口にする。そのたびに、アン先生は困ったように笑うんだ。