星空は「好き」を繋ぐ明日への光
「こないだ言い忘れたんだけど、俺花園の歌好きだった」

「私の歌が好き?」

「うん、よく母親が笑いながら見せてくれてた」


先生は懐かしそうに微笑んで、遠くを見つめていた。

私はその顔を見た時、胸が痛くてどうしようもなかった。

いくら私のせいじゃないと、先生が言ってくれても。


「そんな顔してほしいわけじゃない。花園の歌はたくさんのひとを笑わせてたってこと」

「…………」

「いつか笑った顔を見てみたいな」




先生はそれだけつぶやいて、またべつの話を始めた。

先生と屋上で話すのはひさしぶり。

結局私が勉強よりも屋上と言ったため、また元通りになった。

立ち入り禁止の屋上で話しているだけ。



満開だった桜が散り、夏の準備が始まっている木。

目を強く刺激する太陽のまわりに浮かぶ数多い雲。

見てる景色はいつもほとんど変わらないけれど、前に見あげた空よりもずっとずっと美しく感じた。

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