星空は「好き」を繋ぐ明日への光
「お……くじょ……に……い、き……た……い」

「だと思った、しばらく行ってないもんな」



先生は私の脇の下に手を入れて、軽々しく私を持ち上げて車いすに乗せた。


急でびっくりした私はバランスを崩して先生に抱きつく形になってしまった。

ドキドキが先生にも伝わったんじゃないかってくらいで。



「いってらっしゃい〜」と朝日さんの声が後ろから聞こえてきた。




病室を出るのはひさしぶり。誰も私のことなんて見ていないのに、過剰反応してしまって、不安になっていく。


さっきまでうれしいで溢れていたのに。




歩いているひと、笑っているひとみんな当たり前のことをしているだけなのに、羨望のまなざしでみてしまう。



ほんとうはこんな服ででたくない、こんな髪ででたくない。点滴だらけの手をだしたくない。



16歳の私が何をしているんだろう。恥ずかしくて、惨めで。



ここにきた時は自分の足で歩けたのにな……。
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