くちびるが忘れない
ゆっくり楽しめる週末なのにジッとしてられなくて


お盆以来で実家に帰省した


突然朝早くから現れた娘に驚きながらも両親は喜んでくれる


もう少し頻繁に帰らなきゃね


あまり親孝行出来ていない事を改めて悔やみ


今日は私の好きなちらし寿司を作ると張りきる母と買い物に出た


地元ってやっぱりホッとする


大学入学と共に離れたこの小さな街にはゆったりとした時間が流れ


帰ってくるたびに癒やされるんだよね


「奈生ちゃん?結城奈生ちゃんだよね」


遠くから名前を呼びながら走って来る人物に目を凝らす


んっ?誰?


「やぁ~ん♪久しぶりだよぉ」


目の前でニッコリ微笑まれてやっとわかった


『弥生ちゃん?!』


う、嘘だぁ~


「高校卒業以来だよ!奈生ちゃん同窓会にも顔出さないし」


ごめんね~


高校で同じ陸上部だった弥生ちゃん


あの頃はほっそりスタイル良くてキレイな足にみんな憧れたのに…


どうしたの!?


「奈生ちゃんキレイになった☆さすが都会で働く人はオーラが違う」

『弥生ちゃんはずっと地元なの?』


ごめんね…


私は弥生ちゃんに同じ言葉を返してあげられないよ


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