くちびるが忘れない
「奈生ぉ…」


余計な事は言わない男


クールで冷静で何を考えてるかわからない


謎めいて危険な匂いがする


仕事中もベットの中でも


そんな彼が一瞬見せる切ない表情


私の名前をかすれた声で呼びながら


苦しいくらい強く抱き締めながら


憑かれたように私を求める瞬間


アノ顔が見たくて…


アノ声が聞きたくて…


私は躯を重ね続けるのだろうか?


彼氏でもないただの上司と


自分でもよくわからない


わかりたくない


ただ…


週に一度のこの時間だけ


私は私じゃなくなる


コレを魔法と呼ばずに何というの…








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