くちびるが忘れない
私の存在は消えたように男2人で話始めた


何かよくわからない


コレって夢?


「奈生!甲斐さんとつき合うって本気か!」


颯太に腕を引っ張られ同僚に囲まれた


『お試しで…うん』


話が広がって仕事どころではない騒ぎに…


甲斐さんは人気も影響力もある人


そんな憧れの人の彼女…


「コラコラッ!みんな仕事開始!月末で忙しんだろ」


よく通る優しい声で注目を引いて


オフィスをぐるっと見渡すと


みんな自然に仕事に戻ってく


居心地のよさに思わず笑顔で甲斐さんを見つめた


甲斐さんと仕事するこの感じが好きだったの


「そ~だ。奈生ちゃんにお土産あったんだ」


甲斐さんはビジネスバックのポケットに手を突っ込み


「お前の好きなの♪」


クルっとデスクに置かれたジンジャーチョコ


「帰りにちょっと香港支社寄ったからさ。彼氏として合格だろ♪」


さっきから驚きっぱなしの私だけど


今まさに言葉を失っていた


神様…


やっぱり彼がソノの相手なんですね


このタイミング


そうとしか思えないよ


甲斐敦士

35歳

ブラジル支社長


私のお試し彼氏







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