化学式で求められないもの
顔を上げれば、またいつもの意地悪な顔。あ、何か嫌な予感がする……。

「いつも嫌がるくせにこういう時は大人しくするんだ?へえ〜……」

「じゃあ離してくださいよ!」

「ダメ」

即答でした。私は諦めて先生に抱きしめられる。人がいなくてよかったかもしれない。

「俺さ、好きな子には意地悪したくなるタイプなんだよね〜」

「はい!?好きな子!?」

このタイミングで告白!?しかも私!?色々ついていけなくて、ドラマみたいに恋のときめきとかに浸っている余裕なんてない。

「織里奈だって、俺のこと好きなんでしょ?だってどれだけ意地悪されたって反応するし。俺たちって相性いいと思うよ〜?織里奈、あんなプレイやこんなプレイ好きそうだし〜?」

「ど、どういうことですか!!」

意地悪されるたびに少しときめいていたことも見抜かれてた!?この人、エスパーなの?

星空の下、私はとんでもない人に捕まったようです。
< 10 / 11 >

この作品をシェア

pagetop