冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
「………先ずはこれをお飲み下さい」
「これは?」
そう言って手渡されたのは、紅茶の入ったティーカップ。
今、後ろでこれを作っていたのか。
ティーカップからは、熱々しい湯気が上っている。
「美容の紅茶になります。エステの始めは皆様これを飲むのです」
「へ〜、そうなのね」
不思議に思いながらも、侍女のその言葉にティーカップを受け取る。
その紅茶からは、とても良い香りが漂い、
華やかな薫りの中には少しだけ苦味もある。
(……………あ、あれ……)
視界が揺れる。
「危ないのでティーカップはお預かり致します」
侍女は言って、まだ紅茶の入ったティーカップを取り上げた。
急に襲い掛かってくる急な眠気。
これは、一体何なのか。
聞こうにも鬱陶しい程の眠気が邪魔をして、頭が上手く働かない。
(…………………だめ…だ)
徐々に瞼が下がる。
抗おうとは頑張ったが、耐えきれなくなった私は遂にゆっくりと目を閉じた___………。