冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】



「……………………ッ…!?」


荒い息遣いに、思わず身体がピクリと反応する。


徐々に暗闇から姿を現す、その巨体。


「……ちょっと…待って。まさか、ここって……………」


「ギュルアァァァァア……………っ!!!」


この場だけでなく、大気全体も震わす程の咆哮。


雄々しく光る黄色い鱗。


………………………ドラゴンだ。


「う…………そ…っ」


見上げる程に大きな体。


こちらへ向けられた炎の様に赤い瞳は、切れ味の良いナイフの様に鋭い。


「来ないで………。お願いだから……来ないで」


静かに後ずさるが、距離を縮める様にそのドラゴンは一歩。


また一歩と、ゆっくり近づいて来る。


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