冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】



          ♢


数分後には、意識を失いかけた侍女の姿がそこにはあった。


「じ………ジレマン男爵に………………作戦を持ち掛けられました…っ…」


拷問に耐えきれなくなった侍女が、今まで閉していた固い口を開く。


一度、口を開けば後は早い。


次々と策略が明るみになるだけだ。


「……そうか。では、直ちに男爵を地下牢へ連れて来い!!」


「御意!!」


恐らく居場所の鍵を握っているであろう、男爵ジレマン。


後は、こいつを拷問して居場所を吐かせるだけだ。


この時は簡単にそう考えていたが、留守中に組まれたその事件がそう甘いものではなかった。


「王様………っ…!」


「どうした?」


「ジレマン男爵が…………何者かに殺害されました!!」


「なん…だと…?」


バレるのを恐れた何者かが、口封じの為にジレマンを殺害したのか。


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