冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
♢
「…………ん…あ………寝てた…?」
ふと目を開くと、そこは未だにあの場所で。
どうやら、これは夢ではないらしい。
「ギュル…?」
側には私の冷えた身体を温めてくれるあのドラゴンの姿。
「ずっと、こうしててくれたの?」
「ギュ…ル」
「ふふ…ありがとう」
鱗の固い体に、優しく触れる。
威圧的で怖いのに、見つめてくる瞳は粒らで。
少し可愛いかも、何て思ってしまう。
「今は何時だろう。私が居なくなった事に気づいてくれている………よね?」
未だ助けに来てくれないこの状況に、思わず不安を抱く。