冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
もし、このまま誰も見つけてくれなかったら。
こんな状況なのに、お腹はしっかりと鳴る。
そこで、昨日の夕方から何も食べていない事を思い出した。
もしこの状況がずっと続けば。
最悪、空腹で死ぬかも………何てマイナスな事を考えてしまう。
「……………」
___ドス…ドス…ッ。
急に動き出したかと思えば、持って来たのは生肉で。
「まさか…………私の為に?」
「ギュル!」
「でも……ごめんね。私、生肉は食べれないの」
とても嬉しいけれど、空腹だからと言って生肉を食べるわけにはいかない。
(はぁ………どうしよう)
きっと、叫んでも誰も来てくれないだろう。
ドラゴンがここにいると言う事は、竜舎で間違いないとは思うけれど。
外へ意識して耳を澄ませるが、人気すら感じられない。