冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
「二十八番目皇女、ガーネル・リドゥ・スレンスト。貴様を____…」
処罰を言いかけて、皇帝陛下は口を止めた。
何だか外が騒がしい。
___バン…ッ!!!
勢い良くドアが開けられたと同時に、酷く焦った様子の騎士が一名中へ走って来た。
陛下の前で跪く。
「…た、大変でございます!!」
「何事だ?」
ただ事ではない騎士のその面持ちに、陛下は玉座から立ち上がる。
「隣国の………隣国のアデリカル王国、国王が…っ」
「アデリカル王国…。それがどうしたのだ!?」
「国王様が今………っ」
外が一層騒がしさを増すと同時に、ある足音が近づいて来るのが分かった。
その足音だけ周りとは違って、良く響いて聞こえる。