冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
気持ちを落ち着かせる様に深呼吸を繰り返すと、私は王様に頭を下げた。
「この度はご迷惑をお掛けし…大変申し訳ございませんでした。それと…捜しに来て下さりありがとうございました」
謝罪と感謝。
これはお会いした時にしようと、心の中で思っていた。
王様だけでなく、他の皆にも沢山の迷惑をお掛けした。
もし私が帝国の人間だと知っていたならば、恐らく使用人達は捜してはくれなかっただろう。
しかし、クランベルや王様は私が帝国の人間だと知った上で捜してくれた。
何と感謝したら良いか…。
そして、
「身勝手に王様へ質問する事をどうか……お許し下さい」
私が王様に聞きたい事。
「言ってみよ」
「……王様は何故、私を捜して下さったのですか?」
その質問に王様は不思議そうな顔をした。
「何故……とは?捜しに来てほしく無かったのか?」
「いえ……っ…、それは決してございません」
「それなら何故その様な事を聞く」
不思議でたまらないと言った様な王様は、眉間にシワを寄せた。
「私は自分で言うのもあれですが……帝国の人間でございます。この国にとって帝国の人間というのは憎むべき存在である事をここへ来てから知りました。そんな私は言わば帝国から連れて来た人質……。しかし、そんな私を王様は捜して下さいました。お聞かせ下さい。王様は何故……そんな私を捜して下さったのですか?」