冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
その言葉を発した後、少しの沈黙が走る。
その間、王様は何かを考えていらっしゃる様であった。
もし、返ってきた答えが『人質として大事だから捜した』、『相手を脅す手札を無くすのが惜しいから』などであれば、まだ納得は出来る。
それは自答で導いた自身の答えと一緒だから。
でも、どこかそれとは違うのではないか…と期待している私もいて。
だからこそ、自答だけでは済ませれなかった。
「……すまなかった」
「………え?」
予想外の返答に、思わず瞬きを繰り返す。
(今……謝罪の言葉が返ってきた様な……。気のせいだよね?)
もう一度見つめると、王様の美しい碧い瞳と合った。
「……今まで、その様な事を思って過ごしていたのか……」
その声は呟く様に小さく、繊細で。
前にいる王様は、沈痛な面持ちをしていた。