冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
「失礼ながら王様……"竜の花嫁"は、もちろん子供から大人まで知っている有名な童話でございます。しかし、それを無理やり繋ぎ合わせようとなさるのは……………少し強引ではございませんか?」
呆れた様な物言いをした一人の大臣に、皆の視線が集まる。
「……ほぅ。そなたは余の話を聞く前に、これがただの童話……だと断言するつもりなのだな」
「………ひ…っ!!」
まるで巨体なドラゴンにでも睨み付けられている様な威圧感に、男は身体を縮ませ思わず悲鳴を上げる。
ただ傍観していた他の大臣も、巻き込まれまいと、それから視線を逸らす。
「ドラゴンは竜人であっても、熟練されたドラゴン使いか王族でしか扱えぬ存在。その様なドラゴンが、竜人でない妃の言う事を聞いたのだ。
その時………余は思った。あれはただの童話ではなく、実話だとな」
そう言って、天を見上げる。
「それも、城内で扱えぬ者がいないと言う厄介なドラゴンと一夜を過ごし、それでも尚無事だったのだ。それはすなわち……童話の試練。無事であったと言う事は、ドラゴンがその者をこの国の妃として認めたと同然の事」
その言葉に、先程まで威勢の良かった大臣等は口を閉じた。