冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
上手く関係を気づいていこうと始めの時決意していたが、無意識のうちにリティ様として見てしまっていた自分に後悔する。
しかし、これだけは自信を持って言える。
一目惚れは言い逃れで発した嘘ではない、と。
見惚れる程の美しいシルバーピンクの髪と、整った容姿。
気弱そうな見た目ではあったが、パーティーの端に佇むその姿から、どうしても目が離せなかった。
色褪せていた世界が一瞬にして色付く。
まさに、それは一目惚れだった。
あの者として見るには、深く知る必要がある。
……が、困った事に縮め方が分からない。
頭を悩ませる姿に、後ろからレニアスの心配そうな声が聞こえて来た。
「いかがなさいましたか…?」
(……そう言えば、レニアスは女に詳しかったか)
その声に足を止めレニアスの方へ振り返る。
いきなり振り返られたレニアスは何の事か分からずに、ただぎこちない笑みを浮かべていた。
「……相手の事をより知る事ができ…その上距離を縮めるにはどうすれば良いのだ?」
「……え?」
予想外の言葉にレニアスは、瞬きを繰り返した。
しかし、これはただの冗談でなく本気の質問である事を察すると、レニアスは言葉に悩みつつも慎重に話し始めた。
「難しい質問ではありますが……一つご提案がございます」
「なんだ?申してみろ」
レニアスは口元に少しだけ笑みを浮かべ、ゆっくりと提案を告げる。
「…パーティーに誘われてみてはいかがでしょうか?」