冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
「具合はどうだ?」
「王様がご配慮頂いたお陰でだいぶ回復致しました。お医者様からも後三日程静養すれば問題ないとお聞きしました」
正直、後三日も大人しく静養しなくてはいけないなんて退屈で嫌だけど、私に何かあってお医者様の責任になっても困る。
静養しすぎて力の余り過ぎる私に、何かあるとは思えないけれど。
「回復している様で安心した」
それにしても態々王様自らこの様な場所に出向き、私の回復状態を確認されるとは思わなかった。
てっきり何か大切な用事でもあり、ここへ来られたのかと思ってしまったけれど。
それは、私の杞憂だったのかもしれない。
「気にかけて下さり、ありがとうございます」
誰がこの人を冷酷で非情な方だと言い始めたのだろう。
こんなにも気遣って下さるお優しいお方なのに。
「……もう一つ、言う事があった」
「何でしょう?」
少しだけ言いにくそうな王様を見たところ、良くない話なのだろうか。
会議にて帝国の人間だと発表した後と言う事もあり、つられて緊張してしまう。
しかし、王様から発せられたその言葉は、予想すらしないものだった。
「パートナーとして、夜会に参加してくれないか?」
「夜会……ですか?」
意外な言葉に思わず目を丸くする。
まさか王様の口からその様なお言葉が出るとは思ってもいなかった。