冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
甘える様に私へ顔をすり寄る姿は、どこか可愛らしく感じる。
「私が頂いて宜しいのですか…?」
「遠慮する事はない。これは今日からそなた専用のドラゴンなのだから」
王様のそんな言葉に答える様に、ドラゴンは逞しい咆哮を上げる。
(私専用のドラゴン…か)
「あ……そうだ。名前決めなきゃ」
せっかく私専用のドラゴンを贈って下さったのだ。
仲良くなる為にも、名前があった方が色々と便利でもある。
(鳴き声が『ギュル』だったから…)
「ルーちゃん!」
「……ふ…っ」
「え?」
ルーちゃんに向かって叫んだ時、何やら笑い声の様なものが近くから聞こえて来たような気がして、辺りを見渡す。
すると、口元に手を当てた王様の姿が目に入った。
(……もしかして)
「………笑いましたか?」
私のネーミングセンスは、王様が笑われる程、酷いものなのだろうか。
………まぁ、別に笑われても構わないのだが。
鳴き声からとった名前を、可笑しいとは自分自身思っていない事だし。