冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
「アデリカル王国の者は通称"竜人"とも呼ばれ、ドラゴンの扱いに非常に長けている。今は余と従者しか使用を許可していないが、もちろんここへはドラゴンに乗って来た」
(ドラゴン…)
話を聞いた事がある。
架空の存在と言われるドラゴン。
そんなドラゴンが実在する国がある…と。
「ドラゴン…ですと?アデリカルの王はご冗談がお上手で」
そんな生物が存在するものか。
そう言わんばかりに、宰相様は笑う。
その反応に呆れた様子の王様は、口元に僅かな笑みを浮かべて、その場から窓へ視線を向けた。
「…ふっ。見せるつもりは無かったが…まぁいい。城を壊そうが何の問題もなかろう。アヴァ!」
「ギュルル…ッ!!!!」
王様が外に向かって声を上げると、雷鳴の様な獣の咆哮(ほうこう)が城を震わせた。