冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】



王様はその姿をまるで汚いモノを見るかのような目で見つめていた。


「今夜は大人しく帰られる事をお勧めする」


「お気遣いに感謝致します…!!」


「行くぞ……っ!」


王様が放った一言を受けて、二人は逃げる様に会場を後にした。


「……………疲れたな。我々も今日は帰るとしよう」


(戻ってる……)


先程はとても冷たい表情をされていたが、軽くため息を吐くそのお姿はいつもの王様の表情だ。


正直言って、実は私も疲れている。


公爵令嬢の件と言え、帝国の件と言え。


今日はもう帰って休みたい気分だ。


それに……周りの人達の視線を少々浴び過ぎた。


「直ぐに帰宅の手配をしよう」


王様はそう言うと、控えていた者に声をかけるのだった。



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