冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
姿が見えなくなった後、クランベルが疑問そうに口を開く。
「どうして、許可されたのですか?」
言いたい事は何となく分かる。
「彼女は公爵様とは少し違う感じがするし、人脈を広げるチャンスだと思ったの。ほら、私…嫁いでから知り合いとかいなかったし」
「しかし…何だか怪しくありませんか?公爵様は王妃様が嫁がれる前、娘を妃にと王様へ申されたそうですよ。令嬢もそれを望んでいたとか……本当の事は存じませんが、わたくしは何か裏があるのではないかと、怪しくて仕方ありません!」
確かに公爵様は少し危険な人物だと思う。
これが公爵様から誘われていたのであれば、クランベルの言う通り何かあるのではないかと疑っていただろう。
けれど、その娘…ルティアン令嬢は夜会での事を謝罪し、こうしてお茶会の提案もして下さった。
何だか悪い人には見えない。
「お茶会開催は決定事項よ。クランベルも手伝ってくれる?」
「………決定事項であれば仕方ありません。もちろんお手伝い致します」
「ありがとう」
不機嫌な表情をしつつも、お茶会のセッティングは手伝ってくれるようだ。