冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
「あ……ねぇ、クランベル」
「何でしょう?」
「王様には知られない様にお願い出来る?無理なお願いとは思うけれど、もし知られたら……」
恐らく…いや、確実に中止になるだろう。
ベルデーク公爵令嬢が参加されると知られたら、計画の前に取りやめになるかもしれない。
それだけは何とかして避けたい。
「…お茶会の事はバレて良いわ。けれど、公爵令嬢が参加される事だけは絶対に知らせないでね」
必死にお願いする私に、クランベルは呆れた様にため息をついた。
「他のご令嬢を王城内へ入れるには許可が必要です。お茶会の事も恐らく王様にはバレる事でしょう。…けれど、その様に心配されなくともベルデーク公爵令嬢はバレないと思いますのでご安心ください」
「何で?」
「ベルデーク公爵家は王城内への入出が代々許されておりますので、許可なしでも中へ入れます」
その言葉に取り合えずバレる恐れはないと安心する。
「良かった…。では、戻ってお茶会の計画を立てましょう」
「かしこまりました」
初めてのお茶会。
夜会の時とはまた違う交流の場所に、私は心を躍らせる。
まさか、あのような事が起きるとは知らずに――――――――。