冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
目を覚ました先にあるもの
♢
目を開けるとそこは見慣れたベッドの天蓋があった。
「………お妃様…っ!!?」
横にはクランベルの姿があり、目を覚ました私を見て大きな声を上げる。
「誰か…っ!!ただちにお医者様を呼んで!!それと王様にご連絡を」
「はい……っ!」
何だか辺りが騒がしい。
(そう言えば、何で私はベッドの中で寝ていたんだっけ?)
良く分からない状況に思わず首を傾げる。
(確かベルデーク公爵令嬢が注いでくれた珍しい紅茶を飲んで……)
「生きてる…」
あの時。息が出来ずに気を失ったはずなのに、何故かこうして生きている事に思わず驚く。
「お妃様……っ!!意識が戻られ本当に安心致しました……っ」
いつも冷静なクランベルが、私の前で泣き叫んでいる。
「私はどのくらい寝ていたの…?」
「一か月……眠られておりました」
「一か月……っ!?」
その言葉に思わず大きな声を上げる。
「…はい。後一秒でも処置が遅れていたら危なかったと……王城のお医者様が申されておりました。何とか一命は取り留めましたが……それから目をお覚ましにならなかったので……うぅ…っ」
一か月も寝たきりだったので、起き上がった時にふらついてしまったのか。
「あのさ……やっぱり毒……だったの?」
あの時、令嬢がついでくれたあの紅茶。
「………はい」
怒りと悲しみの混ざった表情で、クランベルは静かに答えた。