冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
「内容は……いかがでしたか?」
「私を気にしている……ようね」
(文章上……だけど)
「悪いけど、これ…処分して頂戴」
「かしこまりました」
手紙を封筒に戻して、破棄する様にクランベルに手渡す。
悪いけど返事をするつもりは無い。
「もうすぐ王様がこちらへお見えになります!」
「え、王様が…っ!?」
「お妃様、少し身だしなみを整えさせて頂きますね」
「お願い…っ!」
クランベルは焦った私に落ち着いた声で言葉をかけると、取り出したクシで髪をとかす。
(……王様に会える)
それだけの事なのに、何だか心臓の音が騒がしい。
やっと全てが終わったからか。
私は何も考えず安心しきっていた。
先程の手紙の意図。
そして、あの皇帝の性格を。
私は、軽く見ていた。
事件が終わって、また一つ。
私の知らないところで、新たな事件が始まろうとする――――――。
冷徹竜王の花嫁Ⅰ:完結