冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
♢第一章♢
信じていたものが無くなる日
♢
閉め切られたカーテンの隙間から日の光が部屋の中へ差し込む。
静かな部屋をベッドの中から見渡してみるが、今日も自分以外の人の姿は見えない。
当たり前の光景となった現在。
自分に無関心だろうと、仕事を放棄されようと。
例え両親が私を嫌っていようと。
もはや、何の感情も抱かない。
きっと、いつの間にか感情は死んだのだ。
そう思っていたはずなのに。
「……………あれ」
悲しくもないのに目から涙が零れ落ちる。
そして、それは肌触りの良い上質な布団を濡らした。
「可笑しいな…」
それを拭うが次から次へと涙が溢れてくる。
これは孤独で寂しい…………と言う感情よりも、ただ切なくて悲しくて、胸が締め付けられる様な。
生まれてから十五年。
感じた事のない表し難い感情だった。