冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
(…………ふっ。良かろう。それなら、こちらも行動するまでだ)
幸いスレンスト帝国は昔に結ばれた条約のせいで、アデリカル王国に楯突く事が出来ない。
(問題はこれから………か)
深いため息を付く。
反応的にやはり向こうは前世の事を覚えていないらしい。
こちらが特殊なだけで、当然ながら当たり前の事。
容姿も雰囲気も口調も。
まるで違うあの者を姫様でなく、その者として接し、上手くやっていけるか。
いいや、上手くやってみせるさ。
姫様にしてやれなかった分もこの者に。
この姫君に。
与えて見せようではないか_____……。