冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
「わ、私は……ガーネル・リドゥ・スレンストと申します」
「ガーネル様…でございますね。名前からして十分に察する事は可能ですが、詳しい事情は事前に王様からお聞きしております」
名前の最後にスレンストと帝国の名前がくれば、誰だって気づくだろう。
皇族の中でもスレンストの姓を使える人物は少なく、皇帝と妃。そして皇位を継ぐ可能性のある皇子や、未婚の皇女ぐらいで。
結婚をすれば皇女は皆、相手方の姓に変わる。
「……詳しい事情?」
「左様でございます。ガーネル様がお妃様となられるお方だと言う事も、スレンスト帝国の皇女様であらせられる事も存じております」
クランベルさんは気持ちの良い笑みを見せる。
そこまで話を聞いているのであれば、気を遣う事もない。
「これからわたくしが、ガーネル様のお側付きとなります。何なりとお申し付け下さいませ」
「お側付き……」
「何か問題でもございましたでしょうか?」