冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】


問題なんて、とんでも無い。


お側付きとは既に側で控える専属のお世話係の様なもので、しかも相手は侍女長。


私の様な人質同然の妃に、贅沢すぎる人物だと思っただけだ。


けれど、違う見方をするのであれば王様直々に任命した監視係。


私が可笑しな行動をしないか、恐らく側で監視する為だ。


(それにしても、いつぶりだろう…………)


誰かから微笑みかけられるのは。
例え監視役だとしても、この感覚は久しぶりだ。


「今は婚約の最中…と言う事ですので、ガーネル様とお呼び致します」

「はい。問題ありません」

「…それと、侍女であるわたくしに敬語をお使いになられるのはお辞め下さい。他の者でも同じです。貴女様はこの国の妃となられるお方なのですから」


眉を寄せ、強く言葉を主張する。


緊張から思わず敬語になってしまった。


< 49 / 190 >

この作品をシェア

pagetop