冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
問題なんて、とんでも無い。
お側付きとは既に側で控える専属のお世話係の様なもので、しかも相手は侍女長。
私の様な人質同然の妃に、贅沢すぎる人物だと思っただけだ。
けれど、違う見方をするのであれば王様直々に任命した監視係。
私が可笑しな行動をしないか、恐らく側で監視する為だ。
(それにしても、いつぶりだろう…………)
誰かから微笑みかけられるのは。
例え監視役だとしても、この感覚は久しぶりだ。
「今は婚約の最中…と言う事ですので、ガーネル様とお呼び致します」
「はい。問題ありません」
「…それと、侍女であるわたくしに敬語をお使いになられるのはお辞め下さい。他の者でも同じです。貴女様はこの国の妃となられるお方なのですから」
眉を寄せ、強く言葉を主張する。
緊張から思わず敬語になってしまった。