冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】


「やはり、スレンスト帝国の奴らはそうゆうところがある……」

「………え?」


急に険しくなったその表情は、あの時のルークスさんが私へ向けたものと良く似ていて。


激しく嫌悪するかの様に顔を歪めた。


戸惑う私を見て我に返ったクランベルさんは、再び穏やかな表情に戻した。


「…失礼致しました。わたくしは過去の人間でなく現代の人間ですので、真相は分かりかねますが、アデリカル王国ではこの様に記録されております」




"長きに渡る戦乱の世。

支配を企む国々が戦争を仕掛けるも、聖女と英雄の活躍により勝利をおさめん。

そうして拡大して行く領土と評判は、各国が欲しがるものとなる。

スレンスト帝国。
悪魔の血。

卑劣極まりない手段で戦いを挑み、王を伐っても尚、戦いを止めず、多くの血が流れた最悪の戦争。

聖女と英雄の活躍により再び勝利を手にしたが、また失ったものも多く、国王と聖女と謳われた王女。

そして、洗練された騎士数千人は激闘の末に女神様の元へ戻られた___……。"



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