冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
問題ばかり
日の光がとても心地良い昼過ぎ。
行政の部署に現れたのは執事長であるルークスだった。
「宰相様。お取り込み中に失礼致します」
「どうしたんだ?会議にしてはまだ随分と早い様だが」
定時に行われる会議にしては早いと、時計に目を向ける。
「いえ…王様が執務室にてお呼びでございます」
「王様が?妙な時刻に呼び出すね………。何か問題でもあったのかい?」
その言葉に先程まで無表情だったルークスは、ピクリと体を反応させる。
(あ、これは何かあったな)
感情を表に出さない様に気をつけていたみたいだが、少しの反応を俺は見逃さなかった。
「……王様からお聞きになった方が宜しいかと存じます」
「そうか。なら今から向かってみるよ」
いつもなら簡潔にまとめて答えてくれるルークスが、王様から聞いてくれと口にするなんて。
(これは、かなり不味い状況か?)
「すまないが急用が出来た。この件に関しては後日話し合おう」
「えぇ、そう致しましょう」
周りに声をかけると、急ぎ足で執務室へ向かう。