冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
しかし、大臣等の言いたい事も分かる。
齢二十六にして婚約者無し。
正室どころか側室さへもいない現在、王家の血筋を絶やさない様にと、世継ぎ問題で大臣等は酷く頭を抱えている。
一度、声が上がった事もあったが。
『娶れ……だと?』
『左様でございます。王后不在の状態が続きますと、民もまた不安になられます。
そして、失礼ながら申し上げますが、王様も良い歳でございます。
子の一人もお作りにならないとは……………王の威厳と申されましょうか。
王家の血筋を絶やさない為にも、どうかお考え下さい』
『余は好きでも無い者と夜伽する事は出来ぬ。かと言って、王家の血筋を絶やす事はしたくない…』
『でしたら、一度お見合いなされてはいかがでしょうか?』
『……検討しよう』
その言葉で妃問題は保留となり、あれから月日は流れた。
いつ大臣がその話を持ち出すか。
痺れを切らして候補者を送ってくるか。
考えると頭が痛くなる。