冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
「その反応……。珍しくルークスから何も聞いていないんだな」
「え、えぇ………。聞こうと致しましたが、王様からお聞きする様に…と」
「…ったく、アイツは」
王様は呆れたように息を吐く。
実に信じ難いが反応を見ると、どうやら先程の言葉が本当の様に思える。
「え……っと、事前に何もお聞きしておりませんが、取りあえず状況をご説明して頂いても宜しいでしょうか?」
王様から浮いた話を聞いた事は、これまでに一度しかない。
もう何年か前の事になるが、王様であっても叶わないと言う珍しい想い相手だった。
何故、叶わないのか。
無理矢理にでも連れてこないのか。
疑問に思う事は多々あったけれど、その時期が丁度即位後の事だったので、当時はそこまで深く気にする余裕がなかった。