冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
確かそのお相手は、招待されたパーティーにてお会いしたお方らしいが。
まさか、その時のお方だろうか。
「つけていた隠密から非常に気になる情報を聞いたので、今朝その国へ行ってきたのだ」
「他国の方…ですか。それよりも内緒で国の隠密をつけてたのですか……っ!?しかも、今朝!?」
何とその一人に贅沢な事を。
それも問題は今朝行ったと言う事だ。
宰相である俺に内緒で。
「皇帝の許可も得た。結婚については問題は無いとの事だ」
「皇帝………?」
その単語に眉毛がピクリと動く。
「その皇帝とは、まさかスレンスト帝国の皇帝陛下でしょうか?」
「そうだが」
平然とした表情で答える姿に、思わず頭を抱える。
帝国と聞いて、まさかとは思ったが。
スレンスト帝国は少し不味い。
世間的にも歴史的にも。
(そして、ルークス的にも………か)