冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
ルークスのスレンスト帝国嫌いは、王城内にいる人物であれば誰もが知る有名な話だ。
(………あ、なるほど。ルークスは知っていたから、口にするのも嫌だったのか。それであの様な反応を)
不味い状況には変わりないが。
王様が娶られる事については、喜ばしい事だ。
相手が帝国の人間でなければ。
「……待ってください。皇帝の許可とは、まさか……っ」
「娘を貰った」
その言葉で、更に長いため息をつく。
皇帝の娘と言う事は、皇女様と言う事か。
「…もう、以前の想い人は宜しいのですか?」
「それがその者だが」
………終わってしまった。
まさか、一度は諦めた王様の想い人もその皇女様だったとは。
問題が渋滞している。
「王様、失礼ながら申し上げますが………………大臣や国民から批判が殺到するかと」
「関係ない」
「………関係はあります。そのお方に被害がいく可能性だってあります」
批判された中での生活は、精神的にかなりキツい事だろう。
それに、大臣を上手く丸め込むのは骨を折りそうだ。
「……被害の受けない対処はするつもりだ。どこの出身か隠せば、始めから被害に合うこともないだろう」
「そうですが……」
上手くいくだろうか。