冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
始めは隠せても、何れはバレてしまう。
何があっても大丈夫という、その謎の自信は一体何処から溢れてくるのだろうか。
「何か言いたい事でもあるのか?」
「……………いえ。向こうで既に皇帝陛下と交わされていると言う事ですので、こちらでも早急に結婚の手続きを致しましょう。
姓を変えてしまえば、名前でスレンスト帝国の人間だと発覚する事はございませんので」
言いたい事は山程ある。
だが王様は、それでも意見を曲げる事は決してしないだろう。
家臣としても、王様の想いを尊重したいと言う気持ちはある。
それが例え、アデリカル王国から嫌われた帝国の人間だとしても。
(問題は山積みだが、ここは宰相として何とかするしかない…………か)
先の事を考えてため息が出る。