冷徹竜王の花嫁Ⅰ【完】
「そうだ。お前に頼みたい事がある」
急に話が変わり、そう言って手渡されたのはまとめられた謎の資料。
「何ですか、これは」
疑問に思いながらも、その資料をめくっていく。
そこにはある商人の情報が詳しく記載されてあった。
「この人物は確か、スレンスト帝国の人間でありながら、アデリカル王国での貿易に成功した商人ですね」
王国の中でも端に位置する町で商売取引を始めたのが功を奏したのか。
現在でもアデリカル王国で沢山の貿易を続けているやり手の商人だ。
あまり悪い噂を聞いた事はないが、この人物が一体どうしたのか。